そこに花はなかった
今日は家ではできない野暮用があり学校へ。
あらゆることがリモートでは済まなかった頃の世界を思い出す。家の中で大体のことが完結するのは、この世界になって良かったことかもしれない(同時に悪いことであるとも言える)。
歩いている途中、柵の向こうからキンモクセイの匂いがした。背伸びして覗いて見たけれど、そこには枯れ始めている生け垣しかなかった。匂いがしても姿が見えないのは何故なのだろう。
学校で難なく用を済ませてロビーへ移動。持ってきたおやつを食べた。ごりごりしたチョココーンフレークを、ものすごくごりごり言わせて頬張った。
帰り道、電車の中でまたキンモクセイの匂いがした。見渡してみたけれど、やはりそこに花はなかった。